MULTIWAY
スクイーズが効く卓・効かない卓
スクイーズ——オープンに対するコールが入った状況での大きな3bet——は、強力だが条件付きの武器だ。教科書はスクイーズの「やり方」を教える。だが裏で問われるのは「いつ仕舞っておくか」だ。フォールドエクイティが枯れた卓でスクイーズを振り回す者は、自分が支配者だと錯覚しながら献金している。
このレッスンでは、スクイーズが効く卓と効かない卓を数と相手タイプで切り分ける。前提として、スクイーズはマルチウェイを「畳んでヘッズアップ化する」装置であり、これ自体は前章までの『多人数を避ける』思想と完全に一致している。問題は、その装置が機能する地盤があるかどうかだ。
効く卓の三条件
スクイーズが期待値プラスになる卓には、はっきりした特徴がある。
- オープンレンジが広いプレイヤー——LJ/HJからの軽いオープンや、ボタンの広いスチールは、3betに弱い下位ハンドを大量に含む。降ろせる的が多い。
- コーラーが「フィット・オア・フォールド」型——オープンにフラットコールするプレイヤーが、いわゆる速い手(QQ+,AK)ではなく、セット狙いの小ペアやスーテッド系で参加している卓。彼らは3betに対して4bet返しできず、降りる以外の選択を持たない。
- 君のポジションが後ろ——CO/BTN/SBからのスクイーズは、降ろした後の主導権を握れるため、フォールドエクイティが薄くても残留時に戦える。
卓の特徴 オープナー コーラー スクイーズ評価
広開×フィットフォールド 降りやすい 降りやすい ◎ 多投してよい
広開×コール station 降りやすい 残る △ バリュー寄せのみ
タイト開×小ペアコール 降りにくい セット狙い △ サイズ上げ必要
タイト開×強気コーラー 残る 残る × 仕舞えサイズの設計——3betとは別物
ヘッズアップの3betと、スクイーズのサイズは違う。コーラーがポットに既にチップを入れているため、スクイーズは大きくするのが原則だ。
- ポジションあり(IP)スクイーズ: オープンの 約3〜3.5倍 + コーラー1人につき +1bb。
- ポジションなし(OOP)スクイーズ: オープンの 約4〜4.5倍 + コーラー1人につき +1bb。
- コーラーが2人以上いるマルチコール: 上記にさらにコーラー数を加算し、降ろしきる圧を確保する。
小さく刻むスクイーズは、コーラーに「オッズが合う」言い訳を与え、結果としてマルチウェイを延命させる。スクイーズの目的は安く脅すことではなく、ヘッズアップ化を金で買うことだ。サイズをケチった瞬間、その投資は回収不能になる。
効かない卓での身の処し方
スクイーズが効かないと判断したら、君がすべきは「スクイーズをやめる」ことだけではない。マルチウェイを受け入れる構えに切り替えることだ。降ろせないなら、前章までのナッツ志向に従い、インプライドオッズ型のハンドでフラットコールし、当てて多人数から搾り取る方向に舵を切る。スクイーズという武器を抜くか鞘に納めるか——この判断を卓ごとに下せるようになって初めて、君はスクイーズを「持っている」と言える。
このレッスンの要点
- スクイーズの必要フォールド率は典型11bbで約71%(相手各自約53%降り)。この数字を握らずに撃つのは感覚射撃
- 効く卓は「広いオープン × フィット・オア・フォールド型コーラー × 後ろのポジション」の三条件
- コールステーション残留卓ではブラフ部分を外しQQ+・AK級バリューのみ。効かない卓で効かせようとするのが泥沼
- サイズはIPで約3〜3.5倍+コーラー毎+1bb、OOPで約4〜4.5倍。ケチればヘッズアップ化に失敗する