RFI設計 — ポジション別オープンの思想
RFI(Raise First In)——全員が降りた後、最初に火を点ける権利。プリフロップで最も繰り返す決断であり、ここが歪んでいれば下流の全ストリートが歪む。多くのプレイヤーは「なんとなく広い・狭い」でオープンを決めている。君はそこから抜ける。
RFIレンジの幅は感覚で決まるものではない。**残りのプレイヤー数(後ろに何人いるか)**という、たった一つの構造変数で論理的に決まる。
このサイトの統一基準値
まず数字を頭に焼き付ける。以後の全レッスンはこの値に整合する。
ポジション RFI頻度 後ろの人数 思想
UTG 17.5% 5人 最も厳しい関門。被ドミネートを嫌う
MP 21.7% 4人 やや緩むが依然タイト
CO 27.9% 3人 スティール圏の入り口
BTN 40.6% 2人(BB/SB) 最大幅。位置の絶対優位
SB 34.5% 1人(BB) 特殊。OOP確定の補正がかかるUTGからBTNへ向かって幅が単調に増えていく——これがRFIの背骨だ。後ろが1人減るごとに、おおむね数%ずつ解放されると捉えればよい。
なぜUTGは17.5%まで絞るのか
UTGがオープンすると、後ろに5人が控えている。この5人のうち誰か一人でも強い手を持つ確率は無視できない。さらに、コールやリレイズで残った相手の多くは、ポストフロップで君よりポジションが良い。
つまりUTGのオープンは「広いレンジ群を相手に、しかも位置不利で戦う」宿命を負う。だから手を絞り、レンジ全体の強さで質的優位を確保する。AやKを含むブロードウェイ、上位ポケット、強いスーテッドコネクタ——**被ドミネート(自分が支配される側)を徹底的に避けた17.5%**だ。
COからBTN——スティール圏への移行
COで後ろは3人、BTNで2人。ここから先は「バリューで開く」から「ポジションと位置の優位で開く」へ思想が切り替わる。
BTNの40.6%は、もはや手の強さで正当化される幅ではない。K2s、Q5s、J7s、T8o——単体では平凡な手まで開くのは、フロップ以降を必ずポジション有利で戦えるからだ。位置の優位がレンジの弱さを補って余りある。
開く理由の比重
UTG [ バリュー90% | 位置10% ]
CO [ バリュー60% | 位置40% ]
BTN [ バリュー40% | 位置60% ]BTNでは「この手で勝てるか」ではなく「この手を開いてBB/SBから降ろせるか、降ろせなくてもIPで操縦できるか」を問う。
SBの34.5%——位置不利という例外
SBは後ろがBB一人だけ。人数だけ見ればBTN並みに開けそうだが、実際は34.5%に抑える。理由は一つ、コールされた場合に必ずOOP(位置不利)で戦うからだ。
後ろの人数が減るメリットと、位置不利が確定するデメリット。この綱引きの均衡点が34.5%。さらにSBはリンプを混ぜる戦略も存在するが、本筋はレイズ・オア・フォールドで構築を単純化し、開く以上は3betも辞さない強さのレンジにしておく。
オープンサイズの思想
幅と同じく、サイズも構造で決まる。深いスタックのトーナメント終盤やキャッシュでは2.2〜2.5bbのミニマムレイズが基準。サイズはレンジを守るためにポジション内で固定し、手の強さでサイズを変えない(変えるとレンジが読まれる)。アンティが入る局面ではポットが膨らんでいる分、スティール圏(CO/BTN)の幅をさらに数%押し上げてよい。
レンジの『質』——同じ幅でも中身が違う
幅の数字だけを追うと本質を見失う。同じ20%でも、何で構成された20%かで強さは別物だ。アーリーの17.5%はブロードウェイとペアの濃度が高い”重い”レンジで、被ドミネートに強い。一方BTNの40.6%はスーテッドの低位コネクタやギャッパーを多く含む”軽い”レンジで、位置優位を前提に組まれている。
レンジの『重心』
UTG 17.5% [ ペア・Aブロードウェイ中心 → 重い ]
BTN 40.6% [ スーテッド低位・ギャッパー混 → 軽い ]だからアーリーの手をそのままBTNに足すのではなく、ポジションが下がるほど”開く手の種類”そのものが入れ替わると理解せよ。UTGで開かないQ8sやJ9sは、BTNでは主力候補になる。幅の拡張は単なる足し算ではなく、レンジ構成の質的な組み替えだ。
オープンレンジは『下流』への約束
RFIで何を開いたかは、フロップ以降の全アクションを縛る。広く開けば、フロップでヒットしないレンジ部分(エアー)が増え、C-betの設計やバレルの頻度に直結する。プリフロップのレンジ設計は、ポストフロップの自分の手札を先に決める行為だと捉えよ。だからこそ「後ろの人数」という構造変数に従い、開く以上は最後まで筋の通せるレンジを組む。
RFI設計の総括
RFIは暗記ではなく、後ろの人数という一次変数からの演繹だ。数字を覚えるのではなく、なぜその数字になるのかの論理を持て。そうすれば未知のテーブル構成(ショートハンド、アンティ有無)でも、自分で正しい幅を導ける。
このレッスンの要点
- RFI幅を決めるのは手の好みではなく、後ろに残るプレイヤー数という構造変数
- 統一基準:UTG 17.5 / MP 21.7 / CO 27.9 / BTN 40.6 / SB 34.5(%)
- アーリーは被ドミネート回避、レイト(CO/BTN)は位置優位でレンジを解放
- SBは後ろ1人でもOOP確定ゆえ34.5%に抑え、開く手は3betも辞さない強さに