コールドコールとスクイーズ — 第三の選択肢
ここまでで君はRFIと3bet/4betを設計できる。だが実戦のプリフロップは、いつも「自分が最初」や「一対一」とは限らない。誰かが開き、誰かがコールした後——この複数人が絡む局面でこそ、上級者は二つの武器を解禁する。コールドコールとスクイーズだ。
これは「降りる・3betする」の二択に挟まれた第三の選択肢であり、使いこなせば搾取の幅が一段広がる。
コールドコールはIP限定の技術
コールドコールとは、自分が一切ベットしていない位置から、誰かのオープン(やオープン+コール)にコールで参加すること。これは原則IP(位置有利)でのみ許される技術だ。
なぜIP限定か。コールドコールはイニシアチブ(攻撃権)を相手に渡す受動的な行動だ。位置不利でこれをやると、攻撃権なし・位置なしの二重苦に陥る。位置有利でこそ、フロップを安く見て、相手のチェックを突き、ポットを操縦できる。
コールドコールに適した手(BTNで、COオープンに対し)
JJ TT 99 ← セットマイニング+ショーダウン価値
AQs KQs JTs ← 3betすると弱含み、降りるには良すぎる中位
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※AA KK QQ AKは原則3bet。コールドコールに沈めない
※OOPからのコールドコールは原則避ける最強域をコールドコールに沈めてはいけない。強い手はレンジから抜くと、コールドコールレンジ全体が弱く見え、後ろからスクイーズで狩られる。コールドコールは「3betするには微妙、降りるには惜しい」中位の手の受け皿だ。
スクイーズ——デッドマネーを刈る再レイズ
スクイーズとは、誰かがオープンし、誰かがコールした後に、君が大きく3bet(再レイズ)して両者をまとめて降ろしにいく一手だ。プリフロップで最も攻撃的かつ利益的な動きの一つだが、成立には二つの条件が要る。
条件1:デッドマネー
オープナーのレイズ額+コーラーのコール額が、すでにポットに置かれている。これが『デッドマネー』だ。スクイーズが通れば、君は自分はほぼ投資せずにこの死に金を総取りできる。コーラーが多いほどデッドマネーは厚く、スクイーズの利得は上がる。
スクイーズの旨味(デッドマネーの大きさ)
オープン + 1コール → デッドマネー中。標準的に狙える
オープン + 2コール → デッドマネー大。ただし誰かに刺さるリスクも増
オープンのみ(コール無)→ それは単なる3bet。スクイーズではない条件2:レンジ非対称
ここが核心だ。コールドコールしたプレイヤーのレンジには、最強の手が含まれていない。なぜなら、本当に強い手(AA/KK/AK)なら相手は3betしているはずだから。コーラーはすでにレンジの上限を自ら除外している。
このレンジ非対称——「コーラーは強い手を持っていないと宣言済み」——を突くのがスクイーズの論理だ。だから君は、実際に強くない手でもスクイーズブラフを撃てる。相手は構造的に降りやすい。
スクイーズのサイズは大きく
通常の3betよりスクイーズは一回り大きいサイズで撃つ。理由は二つ。第一に、相手は二人(以上)いるので、両方を降ろすには圧が要る。第二に、デッドマネーで膨らんだポットに対し小さく撃つと、コーラーに良いオッズを与えてコールされてしまう。OOPからのスクイーズなら更に大きく、相手の継続を物理的に締め上げる。
三つの武器の使い分け
プリフロップで複数人が絡んだとき、君の手は三方向に分岐する。
状況:COオープン → MPコール、自分はBTN
最強域(AA-QQ,AK) → スクイーズ(バリュー)
中位(JJ-99,AQs,KQs) → コールドコール(IPの特権)
ブラフ域(A5s,KQs一部) → スクイーズ(レンジ非対称を突く)
それ以下 → 降りる同じ局面で、手の役割ごとにスクイーズ・コールドコール・フォールドを振り分ける。この多層的な分岐ができて初めて、複数人プリフロップを支配できる。
第三の選択肢の総括
降りる・上げるの二択しか持たないプレイヤーは、複数人の局面で取りこぼす。IPでのコールドコールで中位を活かし、デッドマネーとレンジ非対称をスクイーズで刈る——この第三の選択肢こそ、プリフロップ設計の最後のピースだ。
このレッスンの要点
- コールドコールは原則IP限定。中位の手の受け皿で、最強域は沈めない
- 後ろにアグレッシブな相手がいるならコールドコールはスクイーズの的になる
- スクイーズの二条件:デッドマネーの大きさと、コーラーのレンジ非対称
- スクイーズブラフはAブロッカー持ちで厳選し、通常の3betより大きく撃つ