ターンのサイズとバレル設計
フロップを抜けてきた者だけがターンに立つ。ここでレンジは一度ふるいにかけられ、両者の手は前のストリートより強い方へ偏っている。ターンのサイズ設計は、この「絞られたレンジ」を前提に組む。
ターンの本質は サイズが跳ねることだ。フロップで 1/3 を打った手でも、ターンでは 2/3〜ポット、さらにオーバーベットへ平気で上がる。理由はSPRが下がり、残りストリートが少なくなることで、ここで圧をかけないと最終的にバリューを取りきれない・ブラフを通せないからだ。フロップのサイズ感をターンに持ち込むのは、最もよくある漏れの一つだ。
ターンカードがレンジに何をしたか
ターンサイズの起点は「このカードはどちらのレンジを助けたか」だ。
A♠8♦4♣ のフロップを 1/3 で打ち、ターンに K♦ が落ちたとする。このKは君(PFR)のレンジをさらに助ける——AK・KK が君側に偏在する一方、相手のフロップコール域にKxは薄い。ナッツ格差が広がった。ここは 2/3〜ポット、あるいはオーバーベットでバレルを継続する好機だ。フロップ小・ターン大、これがレンジ優位を換金する典型パターンになる。
逆に同じ面でターンに 9♣ が落ちて相手の連結域を助けたなら、サイズは抑えるかチェックに回す。カードがレンジに与えた影響を読まずにサイズを決めるのは、目をつぶってベットするに等しい。
ターンサイズの早見
ターンの状況 フロップ→ターンの動き 推奨ターンサイズ
レンジ優位を広げるカード 1/3 → 大 2/3〜ポット
ナッツ格差拡大 小 → 特大 オーバーベット 1.2〜1.5x
ブランク(優位維持) 1/3 → 中 1/2〜2/3 で圧継続
相手を助けたカード 打った → 抑制/チェック 1/3 or check
フラッシュ完成(自分弱い) チェックに回す 打たない・コントロール
低SPR 3betポット フロップ大 → コミット 3/4〜ポットでスタックへターンのサイズは「上げていく」のが基本動線だ。バレルを継続する以上、フロップと同じか小さいサイズで打つ理由はほとんどない。残りスタックを2ストリートで入れ切る設計(ジオメトリック)を意識すれば、ターンの適正サイズは自然に大きくなる。
ダブルバレル — ブラフの大きさ
ターンでブラフを継続(ダブルバレル)するとき、サイズはバリューと揃えるのが鉄則だ。バリューでオーバーベットする面なら、ブラフもオーバーベットで。これが分極の維持だ。
ただしブラフを継続する頻度は、ターンカードで調整する。相手をオーバーフォールドさせるカード——具体的には自分のレンジを助けるカードや、相手の弱いコール域を脅かすカード——でブラフ頻度を上げる。逆に相手を助けたカードではブラフを畳む。良いブラフカードと悪いブラフカードを選別できるかが、ターンの腕だ。
ディレイドCベットとプローブのサイズ
フロップをチェックで通したターンには、別のサイズ論理が働く。
君がIPでフロップをチェックバックし、相手がターンもチェックしてきた——このディレイドCベットは、相手のレンジが弱い側に偏っている。1/2前後の中サイズで薄く広く取りに行く。相手がキャップしているのでオーバーベットも選択肢に入るが、まだ2ストリート残る場面では中サイズで様子を見るのが堅い。
逆に君がOOPでフロップをチェック、相手もチェックバックしてきたターンでのプローブベットは、相手のチェックバックレンジが弱いことを利用する。ここも 1/3〜1/2 で広く打ち、降りなければリバーを設計し直す。どちらも「相手のキャップ」を起点にサイズを選ぶ点は共通だ。
SPRとターンサイズの連動
ターンサイズは抽象的なカード分類だけでなく、残スタックの具体的な数字からも決まる。SPR(スタック対ポット比)が低いポットほど、ターンのサイズは自動的に大きくなる。
例えば3betポットでフロップ後のSPRが約2.5だとする。ここでリバーまでにスタックを入れ切りたいなら、ターンとリバーを等比2発で構成する。SPR2.5を2ストリートで割ると、各ベットはおよそ 3/4 ポット前後になる。つまり3betポットのターンは、SPRが低い時点で 3/4〜ポットが基準になり、選択の余地は狭い。フロップで小さく打ったから、という理由でターンを小さくすることはできない。
フロップ後SPR 入れ切る発想 ターンの適正サイズ
SPR 1〜2 ターン1発でコミット圏 ポット〜オーバー
SPR 2.5〜3 ターン・リバー2発 3/4 前後(等比)
SPR 4〜6 2〜3発で設計 2/3 前後
SPR 8+ 多ストリート・余裕 1/2〜2/3 で段階的にこのレッスンの要点
- ターンはサイズが跳ねるストリート。フロップのサイズ感を持ち込まず、リバーから逆算して膨らませる
- ターンカードを「自分を助ける/相手を助ける/ナッツ格差拡大」の3分類で読み、サイズを決める
- レンジ優位を広げるカードは 2/3〜ポット、ナッツ格差拡大はオーバーベット、相手を助けたら抑制/チェック
- ダブルバレルはサイズをバリューと揃え、頻度をカードで調整。弱気な中間サイズが最も損