プリフロップのサイズ — 3bet・4betの大きさを決める
ポストフロップのサイズを4本やってきた。最後に源流へ戻る。プリフロップのサイズは、その後の全ストリートのSPR(スタック対ポット比)を決める設計図だ。ここを雑に打つ者は、フロップに入る前から不利なポットを自分で作っている。
プリフロップのサイズで覚えるべき原則は一つ。サイズはポジションが決める。 位置がある(IP)か無い(OOP)かで、適正サイズは構造的に変わる。手の強さで3betの大きさを変える者は、レンジを丸裸にしている。
オープンレイズ — 2〜2.5bb に収束
現代のオンライン基準では、オープンサイズはどのポジションからでも 2〜2.5bb に収束した。アンティの有無やスタックで微調整はあるが、UTGだから大きく、BTNだから小さく、という古い発想はもう要らない。
小さいオープンの狙いは明確だ。降りる相手から薄く取りつつ、コールされてもSPRを高く保ち、ポジションの優位を後ろのストリートで活かす。リスクを抑えてレンジ全体を安く前進させる、フロップのレンジベットと同じ思想だ。
3bet — IPは3倍、OOPは4倍が目安
3betサイズの核心はここだ。IP(相手のオープンに対し位置が有る)なら原サイズの約3倍、OOP(位置が無い)なら約4倍。
理由はポジションのハンデを価格で埋めることにある。OOPは後続ストリートで不利だから、相手のコール域を絞り、より大きなポットを最初から作って優位を確定させたい。だからOOPの3betは大きい。IPは位置で取り返せるから、安く3betして広いレンジで圧をかけられる。
状況 相手のオープン 3betサイズ目安 作るSPR傾向
IP(BTN vs CO) 2.5bb ×3 ≒ 7.5bb やや高め・遊べる
OOP(BB vs BTN) 2.5bb ×4 ≒ 10bb 低め・コミット寄り
OOP(SB vs BTN) 2.5bb ×4 前後 低め・主導権を握る
スクイーズ 2.5bb+1コール さらに+1〜2bb コール分を上乗せスクイーズ(オープン+コーラーが既にいる)では、コーラーが入れたチップのぶんサイズを上乗せする。デッドマネーがある以上、通常の3betより1〜2bb大きく打って降ろしの圧と価値を両取りする。
4bet — IPは2.2倍、OOPは2.5倍前後
4betはスタックが一気に縮む局面だ。サイズは3betの 約2.2〜2.5倍——IPなら小さめ(2.2倍前後)、OOPなら大きめ(2.5倍前後)に寄せる。3betの「IP3倍・OOP4倍」より倍率が小さいのは、既にポットが大きくSPRが低いため、小さい倍率でも十分にコミット圏へ押し込めるからだ。
4betはレンジが極端に分極する。最強域(バリュー4bet)と、ブロッカーを持つブラフ4bet(A5s でAをブロック等)の二極だ。サイズはこの両者で揃える。バリューだけ大きく、ブラフだけ小さく打てば、観察される相手には即座に対応される。
SPRから逆算する発想
プリフロップサイズの最終的な意味は、フロップに入るときのSPRを決めることだ。
SPRの目安 入り方の例 フロップ戦略への影響
SPR 10+ コール・スモール3bet 多ストリート設計・分極控えめ
SPR 4〜6 標準的な3betポット 2/3〜3/4で圧、コミット手前
SPR 2〜3 4betポット・低スタック フロップでコミット判断が直結
SPR 1未満 5bet/オールイン圏 実質プリフロップで決着低SPRのポットほど、フロップで握った手がそのままコミットに直結する。だからプリフロップで作るSPRは、その後どんなフロップ戦略を取りたいかから逆算して選ぶべきだ。「とりあえず3倍3bet」ではなく、「このレンジ戦をSPRいくつで戦いたいか」から3betサイズを決める——これがサイズ章全体を貫く思想の、源流での実践だ。
スタック深度とアンティが基準を動かす
ここまでの倍率はおおむね100bb・標準的なレーキ環境の基準だ。だが卓のスタック深度とアンティの有無で、適正サイズは動く。
ディープスタック(150bb超)では、3betをやや大きめに寄せる。深いほど後続ストリートでスタックを取りこぼす余地が増えるため、OOPでは4.5倍前後まで上げてポットを膨らませ、位置のハンデを早めに埋める判断が増える。逆にショートスタック(40bb前後)では、3betがほぼコミット圏に直結するため倍率は小さめで足りる——3betした時点でSPRが極端に低く、4betかフォールドの二択になりやすい。
アンティ入り(多くのトーナメント)では、ポットに最初から死に金が積まれている。これはスチール・リスチールのインセンティブを上げる方向に働く。デッドマネーがあるぶんオープンもやや小さく、スクイーズの妙味は増す。アンティの大きさに応じて、降ろしの価値が上がることを織り込んでサイズと頻度を調整しろ。
スタック深度 3betの傾向 理由
40bb前後 倍率小・コミット直結 3bet=実質オールイン圏
100bb IP×3・OOP×4(基準) 標準的なSPR設計
150bb+ OOPをやや大きく 深いほど位置のハンデが効く
アンティ有 オープン小・スチール増 死に金が降ろしの価値を上げるこのレッスンの要点
- プリフロップサイズは後続全ストリートのSPRを決める設計図。手の強さでなくポジションで決める
- オープンは2〜2.5bbに収束、3betはIP約3倍・OOP約4倍、4betは3betの約2.2〜2.5倍
- OOPほど大きく打って相手のコール域を絞る。スクイーズはデッドマネー分を上乗せ
- 3bet・4betのサイズをハンドで変えるのは致命傷。SPRから逆算してサイズを選ぶ