オープンサイズ
なぜサイズが重要なのか
オープンレイズのサイズは、以下を一気に決定します:
- フォールドエクイティ(相手の降ろしやすさ)
- ポットの大きさ(=ポストフロップの SPR)
- 自分のレンジに対する後ろのリアクション
サイズひとつで「勝てるハンド」と「負けるハンド」が変わります。
標準サイズの目安
キャッシュゲーム(100 BB スタート)
| ポジ | 標準サイズ |
|---|---|
| UTG | 2.5〜3 BB |
| MP | 2.5〜3 BB |
| CO | 2.3〜2.7 BB |
| BTN | 2.2〜2.5 BB |
| SB | 3〜3.5 BB(または 0= 3-bet 構築) |
レイトポジションほど小さめ。理由:BTN は「スティール」が目的なので、相手にフォールドさせやすい小さめサイズが効率的だから。
MTT(マルチテーブル・トーナメント)
| 状況 | サイズ |
|---|---|
| アンティなし序盤 | 2.5〜3 BB |
| アンティあり中盤 | 2〜2.3 BB |
| ショート(〜 25 BB) | 2〜2.2 BB |
| 超ショート(〜 12 BB) | オールイン or フォールド |
ブラインドアップで実質スタックが浅くなるため、サイズも徐々に小さく。
ディープ(200 BB+)キャッシュ
| ポジ | 標準サイズ |
|---|---|
| 全ポジ | 3〜4 BB |
スタックが深い分、ポストフロップでの暴れ幅が大きい。ポットを大きくしすぎるとリスクも増えるため、サイズはやや大きめ。
「小さく開ける」現代戦略
近年は「ミニマムレイズ(2〜2.3 BB)」が広く採用されています。
メリット
- 相手がフォールドしてもリスクが小さい
- 3 ベットされても傷が浅い(コール vs フォールドの判断が楽)
- 1 周あたりのプレイ可能ハンドが増える
デメリット
- 弱いハンドが多く参加してくる(=マルチウェイ化)
- ポストフロップでの優位を取りづらい
オンライン高レートでは 2〜2.3 BB が定着していますが、ライブの低レートでは依然 3 BB 以上が主流です。
サイズの「ノット」効果
特定のサイズが「自然な気がする」と感じさせる効果を「ノット効果」と呼びます。
- 3 BB:オンラインの定番、無難
- 2.5 BB:やや軽め、スティール意図が伝わる
- 2 BB(ミン):圧倒的なミニマムレイズ、安いブラフが多い印象
- 4 BB+:ブラインドが深い、または弱さの裏返し
このノット感を逆手に取って、「強い手を 2.5 BB(弱そう)でオープン」「弱い手を 3 BB(普通)でオープン」する戦略もあります(ただし高度)。
オープンサイズと SPR
SPR(Stack to Pot Ratio)= ポストフロップに残る「スタック / ポット」の比率。
| オープンサイズ | コール後の SPR(100 BB スタート) |
|---|---|
| 2 BB | 約 24 |
| 2.5 BB | 約 19 |
| 3 BB | 約 16 |
| 4 BB | 約 12 |
SPR が大きいほど、ポストフロップの選択肢が広く、実力差が出やすい。SPR が小さいと、ジャム or フォールドに収束しやすい。
詳細はレッスン 81「SPR とコミットメント」で扱います。
ポジション別の「サイズで伝わる情報」
実戦では、サイズ自体が情報になります:
| 状況 | サイズ | 受け取られ方 |
|---|---|---|
| UTG オープン 4 BB | 大きめ | 「プレミアム or 警戒している」 |
| UTG オープン 2 BB | 小さめ | 「広いレンジでミンレイズ、スティール意図」 |
| BTN オープン 2 BB | 標準 | 「広いレンジでスティール」 |
| BTN オープン 3 BB | やや大きめ | 「強めの手 or バランス調整」 |
サイズを 常に同じ にする(バランスの取れた戦略)か、意図的に変える(エクスプロイト)かで、上級者の戦略は分かれます。
アンティ付きでのサイズ調整
MTT 中盤以降の「BB アンティ付き」では、ポットが最初から大きいため、小さいサイズでも十分な圧力になります。
例:BB 400 + アンティ 50(BB アンティで実質追加 400)= プリフロップポット 1000
このテーブルで 2 BB(800)レイズすれば、「ポット 1000 に対して 800 のベット」= フォールドエクイティ大。
つまり アンティ付きはオープンサイズを縮める のが正解です。
サイジングのチェックポイント
「今このサイズが正解か?」を判断する 4 つの問い:
- ポジションは IP か OOP か?
- スタックは深いか浅いか?
- アンティはあるか?
- テーブルはタイトかルースか?
これらを毎ハンド意識すると、自然と「ハンドではなく状況に応じてサイズが決まる」感覚が身につきます。
サイズの間違い:典型パターン
① 全ポジ同じサイズ(特に 3 BB 固定)
- UTG では小さすぎ、BTN では大きすぎ
- ポジションに応じた伸縮が必要
② アンティ無視で大きく開ける
- 5 BB オープンなどは、アンティ環境では過剰
- 2 BB で十分な圧力
③ ハンドの強さでサイズを変える
- 「強い手は大きく、弱い手は小さく」は読まれる
- バランスを取るなら、レンジでサイズ統一
まとめ:最初の 1 ヶ月のサイズ運用
シンプルに以下のルールから始めてください:
| ポジ | キャッシュ | アンティなしMTT | アンティありMTT |
|---|---|---|---|
| UTG-CO | 2.5 BB | 2.5 BB | 2.2 BB |
| BTN | 2.5 BB | 2.5 BB | 2.2 BB |
| SB | 3 BB | 3 BB | 2.5 BB |
このシンプルな表を守るだけで、サイズ起因の損失はほぼなくなります。
このレッスンの要点
- 標準オープンサイズは 2.2〜3 BB、レイトポジほど小さめ
- アンティ付きはサイズを縮める
- SPR を意識すると、ポストフロップ戦略が一貫する
- サイズを「ハンドの強さ」で変えるのは読まれる