SPR とコミットメント
SPR(スタック・ポット・レシオ)はポストフロップ戦略の地図。「もう降りられない」コミットメントの境目を計算します。
SPR とは
SPR = Stack to Pot Ratio(=スタック対ポット比率)
フロップ時点でのポストフロップにおける、「自分の残りスタック ÷ 現在のポット」。
公式
SPR = フロップ時の自分のスタック ÷ フロップ時のポット
例
- ポット 10 BB、自分のスタック 100 BB
- SPR = 100 / 10 = 10
SPR の意味
- SPR 低(=1〜3):スタックすぐにオールイン可能、ジャム前提
- SPR 中(=4〜10):標準戦略、ターン以降の選択肢豊富
- SPR 高(=11〜):ディープ、複雑な戦略可能
SPR で決まる戦略の特徴
SPR 1 〜 3(=コミット必至)
- どんなハンドでもオールイン射程内
- ベット → コール = 残りジャム
- 「入れるか降りるか」のシンプル戦略
SPR 4 〜 10(=標準)
- 3 ストリート展開可能
- バリュー / ブラフのバランス取れる
- 多くの戦略書はこの SPR を想定
SPR 11 〜 20(=ディープ)
- ターン・リバーでさらに大きな勝負
- スーテッドコネクター、ペアの価値増(=インプライド大)
- ポラライズ展開でオーバーベット可能
SPR 20+(=スーパーディープ)
- ハイステークスのキャッシュゲーム
- ポストフロップの読み合いが極致化
SPR のシナリオ別計算
シナリオ A:ポット 6 BB、スタック 94 BB
- SPR = 94 / 6 = 15.7(ディープ)
シナリオ B:ポット 20 BB、スタック 80 BB
- SPR = 80 / 20 = 4(中)
シナリオ C:ポット 30 BB、スタック 30 BB
- SPR = 30 / 30 = 1(コミット)
SPR が低いシチュエーション
プリフロップのレイズ・コール回数
- 4-bet 後の SPR は通常 2 〜 4(=ジャム射程)
- 5-bet 後はほぼ確実にオールイン
例:4-bet ポット
- ブラインド 1.5 + UTG オープン 3 + CO 3-bet 9 + UTG 4-bet 22 + CO コール
- ポット 約 45 BB、残りスタック 78 BB
- SPR = 78 / 45 = 1.7
- → どんなハンドでもジャム射程
コミットメントとは
「もう降りられない」状態。
コミット閾値の目安
- ポットに自分のスタックの 1/3 以上が入っている
- 残りスタック < 自分の最大ベットサイズ × 2
コミット後の選択
- ベット → コール強要
- フォールド = 大損失(投資全捨て)
SPR とコミットメントの関係
| SPR | コミット状態 |
|---|---|
| 1 〜 2 | 完全コミット |
| 3 〜 5 | コミット寄り |
| 6 〜 10 | フレキシブル |
| 11+ | フリー |
SPR が低いほど、コミット強い。
ハンドと SPR の最適化
強いハンド(プレミアム)
- 低 SPR が好都合(=ジャムで全力)
- 高 SPR は読み合いの不確実性
ドロー系(SC、ペア)
- 高 SPR が好都合(=インプライド大)
- 低 SPR は完成しない確率高で損
中堅(TPTK)
- 中 SPR が好都合(=安全な 3 ストリート)
- 低 SPR は強要され、高 SPR は深い思考必要
プリフロップで SPR を意識する
オープンサイズで SPR が決まる:
| オープンサイズ | コール後の SPR(100 BB) |
|---|---|
| 2 BB | 約 22 |
| 2.5 BB | 約 19 |
| 3 BB | 約 16 |
| 4 BB | 約 12 |
3-bet ポットでさらに SPR 低下。
ハンドに合った SPR を「作る」
プレミアム(AA, KK)
- 3-bet / 4-bet で SPR を下げる
- 低 SPR でジャムし切る
スーテッドコネクター
- フラットコール(=低リスク参加)
- 高 SPR でインプライド狙い
TT-JJ(中堅)
- 状況により(3-bet / コール)
- 中 SPR が理想
SPR 計算の実例
例 1:4-bet ポット参加
- 自分 UTG オープン 3、CO 3-bet 9、自分 4-bet 22、CO コール
- 残りスタック:100 - 22 = 78
- ポット:1.5 + 22 + 22 = 45.5
- SPR = 78 / 45.5 ≒ 1.7
→ ほぼコミット、フロップで強い手以外フォールド or ジャム。
例 2:シンプルなオープン・コール
- 自分 BTN オープン 2.5、BB コール
- 残りスタック:97.5
- ポット:5.5
- SPR = 97.5 / 5.5 ≒ 17.7
→ ディープ、3 ストリート慎重展開。
SPR と「ベットサイジング」
SPR でベットサイズが決まる:
低 SPR(1〜3)
- フロップ:ポット〜オールイン
- ターン:オールイン
- 「2 ベットで全部入る」
中 SPR(5〜10)
- フロップ:1/2 〜 2/3 ポット
- ターン:2/3 〜 ポット
- リバー:ポット 〜 オーバーベット
高 SPR(11+)
- フロップ:1/3 〜 2/3 ポット
- ターン:2/3 〜 ポット
- リバー:ポラライズ可能
「逆引き」SPR 戦略
ハンドの強さから、好ましい SPR を逆算:
| ハンド | 好ましい SPR |
|---|---|
| AA, KK | 1 〜 5(=ジャム可) |
| QQ, AK | 5 〜 10 |
| JJ-99 | 5 〜 15 |
| スーテッドコネクター | 15+ |
| スモールペア | 20+(=セットマイニング) |
「プリフロップで好ましい SPR を作る」=サイズ・3-bet 判断。
SPR ゼロ(=オールイン)の意思決定
SPR 0 = 全額入っている:
- ショーダウン強制
- バリュー or ブラフのオールイン
オールイン戦略
- 自分のレンジが相手のコールレンジに勝てる → バリュー
- 相手のフォールド頻度 × ポット > 自分の負け額 → ブラフ
マルチウェイでの SPR
3 人以上のマルチウェイ:
- 「有効スタック」= 最少スタック
- マルチウェイ SPR:最少スタック / ポット
→ 一番浅い人のスタックで判断。
練習:SPR 計算と判断
シナリオ A
- 自分 BTN、スタック 100 BB
- BB へ 2.5 BB オープン → BB コール
- フロップ:A♠ 9♦ 5♣
Q. SPR は?
答え
スタック:100 - 2.5 = 97.5、ポット:5.5
SPR = 97.5 / 5.5 = 約 18(ディープ)
シナリオ B
- 自分 UTG、スタック 50 BB
- 3 BB オープン → BB 9 BB の 3-bet → 自分 22 BB の 4-bet → BB コール
- フロップ:K♣ T♥ 4♦
Q. SPR は?
答え
スタック:50 - 22 = 28、ポット:1.5 + 22 + 22 = 45.5
SPR = 28 / 45.5 = 約 0.6(完全コミット、フロップ判断 = オールインかフォールドの二択)
用語まとめ
- SPR:Stack to Pot Ratio、フロップ時の残スタック / ポット
- コミットメント:もう降りられない状態
- 有効スタック:マルチウェイでの最少スタック
- 逆引き SPR:好ましい SPR からプリフロップ戦略を決める
このレッスンの要点
- SPR = フロップ時のスタック / ポット
- 1〜3:コミット、4〜10:標準、11+:ディープ
- プレミアム → 低 SPR、ドロー → 高 SPR
- ハンドに合った SPR をプリフロップで作る
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