レッスン 44 / 100 Phase 3:ハンドレンジ編

ショートスタック対応

スタックが浅くなると、戦略は劇的にシンプルになります。「ジャム or フォールド」の二択フェーズで戦う、トーナメント特有の局面を学びます。

ショートスタックとは

スタックが BB の 20 倍以下 になった状態を「ショートスタック」と呼びます。

BB 換算フェーズ戦略
100 BB+ディープ通常戦略
50〜100 BBレギュラー標準戦略
20〜50 BBミドルやや絞り目
15〜25 BBショートジャム比率が増える
〜 15 BB緊急ジャム or フォールド
〜 10 BB死活より広いジャム

ショートスタックは主にトーナメントで頻発しますが、キャッシュゲームでも「リバイ直前」の局面で発生します。

なぜ戦略が変わるか

ショートスタックでは:

  • 3 ベット → コール で 30 BB のポット → 自分の残りスタック 5 BB → 実質ジャム確定
  • 「微調整したベット」が機能しない
  • ジャム or フォールド の二択がシンプルかつ正解

オープンサイズの調整

スタック推奨オープンサイズ
50 BB+2.5〜3 BB(標準)
30〜50 BB2.2〜2.5 BB
20〜30 BB2〜2.2 BB
12〜20 BB2 BB(ミニマム)
〜 12 BBオープン or ジャム

スタックが浅くなるほど、オープンサイズも縮める。理由:

  • 大きく開けてフォールドされても、リターンが小さい
  • 大きく開けると 3 ベットジャムされてコール強要

ジャムレンジ:「Nash Equilibrium(ナッシュ均衡)

15 BB 以下では「ナッシュチャート」と呼ばれる、ジャム or フォールドの最適表が存在します。

15 BB のオープンジャムレンジ(UTG 想定)

  • ペア:55+
  • A スーテッド:A8s+
  • A オフスーテッド:AJo+
  • K スーテッド:KJs+
  • スーテッドコネクター:JTs+

10 BB のオープンジャムレンジ(UTG 想定)

  • ペア:22+
  • A スーテッド:全部
  • A オフスーテッド:A7o+
  • K スーテッド:K9s+
  • スーテッドコネクター:T9s+

5 BB のオープンジャムレンジ(UTG 想定)

  • ペア:22+
  • A 全部、K 全部
  • Q オフスーテッド:Q9o+
  • スーテッドコネクター:65s+
  • かなり広い(=任意のハンドで OK レベル)

スタックが浅いほど、レンジが広がる 「ジャム緩和」 の数学。

ジャムコールレンジ

オープンジャムされたとき、自分がコールする範囲:

自分のスタック 30 BB、相手 15 BB のジャム

  • ペア:77+
  • AQs+, AKo
  • 約 4〜6 % のハンド

自分のスタック 30 BB、相手 10 BB のジャム

  • ペア:55+
  • AT+, KQs, KJs
  • 約 8〜10 %

自分のスタック 30 BB、相手 5 BB のジャム

  • ペア:22+
  • A2+, K9+
  • 約 25 %(ポット・オッズ良好)

ポット・オッズに応じてコールレンジを伸縮します。

ICM の考慮(次のレッスンで詳細)

ショートスタックがオールインするとき、トーナメントでは ICM(Independent Chip Model) を考慮します。

  • ICM = 各順位の経済価値
  • ファイナルテーブル近くでは「降りる」価値が高い
  • プラス期待値だが、ICM 的にマイナス」のジャムは控える

ICM の詳細は Phase 6 のレッスン 91-93 で扱います。

ショートスタックの心理戦

① 「カバーしている」相手の圧力

  • 自分より大きいスタックの相手は、ジャムで圧力をかけてくる
  • 「降りるなら降りる、コールするなら覚悟」と即断必要

② バブル戦略

  • 入賞圏ボーダー付近では、ジャムの効果が増す
  • 「コールしたら出れない」プレッシャーで相手が降りやすい

③ 焦りの抑制

  • スタックが減ると焦ってジャム連発しがち
  • 1 周だけ我慢する」ことで、より良いハンドが来る

ライブとオンラインの差

環境ショートスタック頻度
オンライン MTT頻繁(早いブラインドアップ)
ライブ MTT中盤以降に頻繁
キャッシュ稀(リバイで回復)

オンラインでは「ナッシュチャート」を覚えるだけで、ショートスタック戦略の 80 % は完成します。

ナッシュチャートの覚え方

完璧に覚えるのは大変なので、「目安レンジ」を体で覚える のがコツ:

スタック目安レンジ
15 BBトップ 15 %
10 BBトップ 25 %
7 BBトップ 35 %
5 BBトップ 45 %
3 BBトップ 60 %
1 BBほぼ any 2

詳しいチャートは「[ナッシュチャート]アプリ」「ICMizer」などで確認可能。

「ジャム or フォールド」の練習法

オンラインの SNG(シットゴー)で意図的にショートまで落とす:

  1. 通常戦略でプレイ
  2. ブラインドアップで自然にショート化
  3. ジャム判断を一つ一つ言語化
  4. 振り返り(=セルフレビュー)

これを 1 ヶ月続けると、ショート戦略が体に染み込みます。

練習:ショートジャム判断

各シチュエーション、ジャムすべきか?

  1. UTG、スタック 12 BB、ハンド K♠ J♣
  2. BTN、スタック 8 BB、ハンド 8♥ 7♠
  3. BB、自分 15 BB、CO 7 BB ジャム、ハンド A♦ 9♦
  4. SB、自分 20 BB、BB 12 BB(タイト)、自分のターン、ハンド T♣ T♦
答え合わせ
  1. ジャム(KJ は 12 BB ジャム範囲)
  2. ジャム(87o は 8 BB のジャム広範囲)
  3. コール(A9o は対 7 BB ジャムに対するコール範囲)
  4. オープン → 4 ベット ジャム待ち or 直接ジャム(TT は強烈、20 BB なら通常レイズか直接ジャム両方アリ)

用語まとめ

  • ショートスタック:BB の 20 倍以下のスタック
  • ジャム:オールイン(=ジャミングまたはプッシュ)
  • ナッシュ均衡:ジャム or フォールドの最適頻度
  • カバー:相手より多いスタックを持つ状態
  • ICM:Independent Chip Model、各順位の経済価値

このレッスンの要点

  • 15 BB 以下では「ジャム or フォールド」の二択がシンプルかつ正解
  • スタックが浅くなるほどジャムレンジが広がる
  • ナッシュチャートで標準レンジを暗記
  • ICM の考慮はファイナルテーブル付近で重要

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