レンジ構築の練習
実際のシチュエーションで「自分のレンジ全体」を頭の中で組み立てる練習。中級者と上級者の分かれ目です。
レンジ構築とは
「特定のシチュエーションでの、自分のハンドレンジ全体を明確化」する技術。
- プリフロップ:オープンレンジ
- フロップ:C-ベット範囲、チェック範囲
- ターン以降:継続範囲、諦め範囲
各ストリートで「自分が何を持っている可能性があるか」をリスト化。
なぜレンジ構築が重要か
① 自分の意思決定の根拠
- 「自分のレンジに対して、このアクションは整合か?」
- レンジ全体で見た最適化
② 相手の読みへの対応
- 相手は「自分のレンジ全体」を読んでいる
- 自分も自分のレンジ全体を意識すべき
③ ミックス戦略の根拠
- レンジ内の各ハンドが「どのアクションか」を意識
レンジ構築の基本ステップ
ステップ 1:プリフロップレンジ確認
- ポジション × アクション
- 例:「BTN オープン 48 %」
ステップ 2:フロップでの分岐
- C-ベット範囲:どのハンドが含まれる?
- チェック範囲:どのハンドが含まれる?
ステップ 3:ターンでの分岐
- ダブルバレル:継続範囲
- チェック:諦め範囲
ステップ 4:リバーでの最終構成
- ベット:ナッツ + ブラフ
- チェック:SDV + 諦め
実例:BTN レンジ構築
プリフロップ:BTN オープン
- ペア:22-AA(全部)
- A スーテッド:A2s-AKs(全部)
- K スーテッド:K2s-KQs(全部)
- … 約 48 %(前 Phase 3 参照)
フロップ:A♠ 7♦ 3♣(A 高ドライ)
C-ベット 1/3 ポット範囲(=高頻度)
- バリュー:AA、AK、AQ、AJ、A スーテッド全部
- ブラフ:KQ、QJ、JT、56s(バックドア)
チェック範囲
- ミドルペア(88、99、TT、JJ)
- スーテッドコネクター(54s、65s)
- 諦めハンド(弱い K、Q)
ターン:A♠ 7♦ 3♣ + 4♥(ブランク)
ダブルバレル範囲
- バリュー継続:AA、AK、AQ
- ブラフ継続:KQ(=A ブロッカー)
チェック範囲
- 中堅 A(AJ、AT)→ ポットコントロール
- ブラフから「諦め」(JT 等)
レンジの「密度マップ」
「強い側」ゾーン
- AA、AKs、AKo
- セット
- ナッツ近
「中堅」ゾーン
- TPTK
- ミドルペア
- 強キッカー
「弱」ゾーン
- ノーペア
- ボトムペア
- ブラフ候補
各ゾーンの大きさを意識。
レンジ構築の「整合性」
レンジは「矛盾なく」設計:
NG ①:バリューだけ取って、ブラフがない
- 1/3 ベットレンジに AA、KK、AQ だけ
- ブラフなし → 読まれてフォールド過多
- バリュー取れない
NG ②:ブラフだけ多くてバリュー少ない
- 1/3 ベットレンジに JT、76s、A5s(全部弱)
- 相手が「ブラフ多い」と読んでコール
- ブラフ通らない
正解:両者バランス
- バリュー:ブラフ = 6 : 4 程度
- 数学的均衡
レンジの「穴」
「穴」のある構築
- 特定のハンドカテゴリが欠けている
- 例:自分のリバーベットレンジに「セットが入っていない」
「穴」の問題
- 相手が「ベット = ノーセット」と読む
- セット集中ボードに対応不能
対策
- 自分のレンジに「全種類のハンド」を分散
- セット、ツーペア、TPTK、ブラフを混ぜる
レンジ構築の「動的調整」
静的レンジ
- プリフロップで固定
- ボード次第で分岐
動的調整
- 相手のレベル
- スタック深度
- ゲーム状況
すべてを総合してレンジ調整。
レンジ構築の練習法
練習 ①:プリフロップレンジ暗記
- Phase 3 のレンジ表を完璧に暗記
- アプリ「Pre-Flop Master」で反復
練習 ②:自分のレンジを言語化
- 1 ハンドごと「自分のレンジは何 %?」を答える
- 「そのレンジで自分のハンドはどの位置?」
練習 ③:ソルバーで答え合わせ
- 自分の感覚 vs ソルバー解
- ズレを修正
「ダブル・チェック」の習慣
レンジ構築の自己点検:
ベットレンジの確認
- 「自分のベットレンジに、バリューはいくつ、ブラフはいくつ?」
- 「比率は適切?」
チェックレンジの確認
- 「自分のチェックレンジに穴はある?」
- 「ブラフキャッチハンドは残してる?」
レンジ構築の「実用感覚」
完璧な構築は不可能、以下の感覚で OK:
5 通りずつのカテゴリ
- ナッツ近:5 通り
- 強バリュー:8 通り
- 中堅:15 通り
- ブラフキャッチ:8 通り
- ブラフ:5 通り
これくらいの解像度で判断。
レンジ構築の例:リバー判断
シナリオ
- ボード:A♠ 9♦ 5♣ 3♥ 2♠
- BTN vs BB、BB がリバーで 2/3 ポットベット
自分の レンジ構築(BTN)
- リバーまで生存:プリフロップから絞られて約 40 ハンド
- バリュー(A 含む):12 ハンド
- 中堅(弱 A、ボトムペア):10 ハンド
- ブラフキャッチ候補(KQ ハイ等):10 ハンド
- 完全ノーペア:8 ハンド
MDF 計算
- 2/3 ポットベット → MDF 60 %
- 40 × 60 % = 24 ハンドはコールしないと、相手のブラフ EV +
- 必要:最強 24 ハンドをコール
結論
- バリュー 12 + 中堅 10 + 一部ブラフキャッチ 2 = 24 でコール
- 完全ノーペア + ブラフキャッチの半分はフォールド
「自分の手だけ」見ない
レンジ構築の最大の罠:
自分のハンドだけ集中
- 「自分は AT、相手のレンジは…」と考える
- これは普通の思考、レンジ構築ではない
レンジ全体で考える
- 「自分のレンジ全体は 40 ハンド」
- 「その中で AT はどの位置」
- 「レンジ全体としてどう動くべきか」
「自分の戦略の透明性」
GTO 戦略の特徴:
透明性
- 自分の戦略を公開しても損しない
- 相手が知っても、相手の最善応答で自分損しない
隠す必要なし
- 「バランス取れている」状態
- 心理戦不要
練習:レンジ構築
シナリオ
- 自分 BTN、フロップ K♠ 7♦ 3♣ で C-ベット 1/3 → BB コール
- ターン:K♠ 7♦ 3♣ + 2♥
Q. 自分のダブルバレル範囲とチェック範囲は?
答え合わせ
ダブルバレル範囲(バリュー + ブラフ):
- バリュー:KK、AK、KQ、KJ(=K含む強)
- ブラフ:AT、AJ、AQ(=A ブロッカー)、JT(=バックドア)
チェック範囲:
- ミドルバリュー:77、33、22(=セット隠す or ポットコントロール)
- 中堅 K:K6s、K5s(=ポットコントロール)
- 諦め:76s、65s(=完全ミス)
→ ターンも継続するのは約 30 %、残りはチェック。
用語まとめ
- レンジ構築:シチュエーション別の自分のハンドレンジ全体
- 密度マップ:レンジ内のハンド分布
- 整合性:レンジ内のバリュー / ブラフ バランス
- 穴:レンジに欠けているハンドカテゴリ
- 透明性:戦略開示しても損しない性質
このレッスンの要点
- レンジ構築 = 自分のハンドレンジ全体の明確化
- バリュー / ブラフのバランス取れる「整合性」が必要
- 穴を作らない、全カテゴリ分散
- 5 通りずつのカテゴリで十分実用
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