レッスン 90 / 100 Phase 6:中級者への入口

レンジ構築の練習

実際のシチュエーションで「自分のレンジ全体」を頭の中で組み立てる練習。中級者と上級者の分かれ目です。

レンジ構築とは

特定のシチュエーションでの、自分のハンドレンジ全体を明確化」する技術。

  • プリフロップ:オープンレンジ
  • フロップ:C-ベット範囲、チェック範囲
  • ターン以降:継続範囲、諦め範囲

各ストリートで「自分が何を持っている可能性があるか」をリスト化。

なぜレンジ構築が重要か

① 自分の意思決定の根拠

  • 「自分のレンジに対して、このアクションは整合か?」
  • レンジ全体で見た最適化

② 相手の読みへの対応

  • 相手は「自分のレンジ全体」を読んでいる
  • 自分も自分のレンジ全体を意識すべき

③ ミックス戦略の根拠

  • レンジ内の各ハンドが「どのアクションか」を意識

レンジ構築の基本ステップ

ステップ 1:プリフロップレンジ確認

  • ポジション × アクション
  • 例:「BTN オープン 48 %」

ステップ 2:フロップでの分岐

  • C-ベット範囲:どのハンドが含まれる?
  • チェック範囲:どのハンドが含まれる?

ステップ 3:ターンでの分岐

  • ダブルバレル:継続範囲
  • チェック:諦め範囲

ステップ 4:リバーでの最終構成

  • ベット:ナッツ + ブラフ
  • チェック:SDV + 諦め

実例:BTN レンジ構築

POKER UTG MP CO BTN SB BB D
BTN は約 48 % オープン。最広レンジを持つポジションでレンジ構築の練習が最も効果的。

プリフロップ:BTN オープン

  • ペア:22-AA(全部)
  • A スーテッド:A2s-AKs(全部)
  • K スーテッド:K2s-KQs(全部)
  • … 約 48 %(前 Phase 3 参照)

フロップ:A♠ 7♦ 3♣(A 高ドライ)

C-ベット 1/3 ポット範囲(=高頻度)

  • バリュー:AA、AK、AQ、AJ、A スーテッド全部
  • ブラフ:KQ、QJ、JT、56s(バックドア)

チェック範囲

  • ミドルペア(88、99、TT、JJ)
  • スーテッドコネクター(54s、65s)
  • 諦めハンド(弱い K、Q)

ターン:A♠ 7♦ 3♣ + 4♥(ブランク)

ダブルバレル範囲

  • バリュー継続:AA、AK、AQ
  • ブラフ継続:KQ(=A ブロッカー)

チェック範囲

  • 中堅 A(AJ、AT)→ ポットコントロール
  • ブラフから「諦め」(JT 等)

レンジの「密度マップ

強い側」ゾーン

  • AA、AKs、AKo
  • セット
  • ナッツ近

中堅」ゾーン

  • TPTK
  • ミドルペア
  • 強キッカー

」ゾーン

  • ノーペア
  • ボトムペア
  • ブラフ候補

各ゾーンの大きさを意識。

レンジ構築の「整合性

レンジは「矛盾なく」設計:

NG ①:バリューだけ取って、ブラフがない

  • 1/3 ベットレンジに AA、KK、AQ だけ
  • ブラフなし → 読まれてフォールド過多
  • バリュー取れない

NG ②:ブラフだけ多くてバリュー少ない

  • 1/3 ベットレンジに JT、76s、A5s(全部弱)
  • 相手が「ブラフ多い」と読んでコール
  • ブラフ通らない

正解:両者バランス

  • バリュー:ブラフ = 6 : 4 程度
  • 数学的均衡

レンジの「

」のある構築

  • 特定のハンドカテゴリが欠けている
  • 例:自分のリバーベットレンジに「セットが入っていない」

」の問題

  • 相手が「ベット = ノーセット」と読む
  • セット集中ボードに対応不能

対策

  • 自分のレンジに「全種類のハンド」を分散
  • セット、ツーペア、TPTK、ブラフを混ぜる

レンジ構築の「動的調整

静的レンジ

  • プリフロップで固定
  • ボード次第で分岐

動的調整

  • 相手のレベル
  • スタック深度
  • ゲーム状況

すべてを総合してレンジ調整。

レンジ構築の練習法

練習 ①:プリフロップレンジ暗記

  • Phase 3 のレンジ表を完璧に暗記
  • アプリ「Pre-Flop Master」で反復

練習 ②:自分のレンジを言語化

  • 1 ハンドごと「自分のレンジは何 %?」を答える
  • そのレンジで自分のハンドはどの位置?

練習 ③:ソルバーで答え合わせ

  • 自分の感覚 vs ソルバー解
  • ズレを修正

ダブル・チェック」の習慣

レンジ構築の自己点検:

ベットレンジの確認

  • 「自分のベットレンジに、バリューはいくつ、ブラフはいくつ?」
  • 「比率は適切?」

チェックレンジの確認

  • 「自分のチェックレンジに穴はある?」
  • 「ブラフキャッチハンドは残してる?」

レンジ構築の「実用感覚

完璧な構築は不可能、以下の感覚で OK:

5 通りずつのカテゴリ

  • ナッツ近:5 通り
  • 強バリュー:8 通り
  • 中堅:15 通り
  • ブラフキャッチ:8 通り
  • ブラフ:5 通り

これくらいの解像度で判断。

レンジ構築の例:リバー判断

シナリオ

  • ボード:A♠ 9♦ 5♣ 3♥ 2♠
  • BTN vs BB、BB がリバーで 2/3 ポットベット

自分の レンジ構築(BTN)

  • リバーまで生存:プリフロップから絞られて約 40 ハンド
  • バリュー(A 含む):12 ハンド
  • 中堅(弱 A、ボトムペア):10 ハンド
  • ブラフキャッチ候補(KQ ハイ等):10 ハンド
  • 完全ノーペア:8 ハンド

MDF 計算

  • 2/3 ポットベット → MDF 60 %
  • 40 × 60 % = 24 ハンドはコールしないと、相手のブラフ EV +
  • 必要:最強 24 ハンドをコール

結論

  • バリュー 12 + 中堅 10 + 一部ブラフキャッチ 2 = 24 でコール
  • 完全ノーペア + ブラフキャッチの半分はフォールド

自分の手だけ」見ない

レンジ構築の最大の罠:

自分のハンドだけ集中

  • 「自分は AT、相手のレンジは…」と考える
  • これは普通の思考、レンジ構築ではない

レンジ全体で考える

  • 「自分のレンジ全体は 40 ハンド」
  • 「その中で AT はどの位置」
  • 「レンジ全体としてどう動くべきか」

自分の戦略の透明性

GTO 戦略の特徴:

透明性

  • 自分の戦略を公開しても損しない
  • 相手が知っても、相手の最善応答で自分損しない

隠す必要なし

  • バランス取れている」状態
  • 心理戦不要

練習:レンジ構築

シナリオ

  • 自分 BTN、フロップ K♠ 7♦ 3♣ で C-ベット 1/3 → BB コール
  • ターン:K♠ 7♦ 3♣ + 2♥

Q. 自分のダブルバレル範囲とチェック範囲は?

答え合わせ

ダブルバレル範囲(バリュー + ブラフ)

  • バリュー:KK、AK、KQ、KJ(=K含む強)
  • ブラフ:AT、AJ、AQ(=A ブロッカー)、JT(=バックドア)

チェック範囲

  • ミドルバリュー:77、33、22(=セット隠す or ポットコントロール)
  • 中堅 K:K6s、K5s(=ポットコントロール)
  • 諦め:76s、65s(=完全ミス)

→ ターンも継続するのは約 30 %、残りはチェック。

用語まとめ

  • レンジ構築:シチュエーション別の自分のハンドレンジ全体
  • 密度マップ:レンジ内のハンド分布
  • 整合性:レンジ内のバリュー / ブラフ バランス
  • :レンジに欠けているハンドカテゴリ
  • 透明性:戦略開示しても損しない性質

このレッスンの要点

  • レンジ構築 = 自分のハンドレンジ全体の明確化
  • バリュー / ブラフのバランス取れる「整合性」が必要
  • 穴を作らない、全カテゴリ分散
  • 5 通りずつのカテゴリで十分実用

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