記録とレビューの仕方
プレイの記録と振り返り(ハンドレビュー)が、100レッスン後の上達曲線を決めます。具体的なテンプレートと手順を渡します。
なぜ記録 + レビューが必要か
「プレイする → 振り返らない」 では、同じミスを繰り返します。
ポーカーは 再現性のあるパターン認識ゲーム。記録と振り返りで:
- 自分の判断の傾向を可視化
- ミスのパターンを抽出
- 改善点を体系化
これが「100 レッスン後の実力差」を生みます。
記録すべき 3 つの要素
① セッション全体記録
- 日付、レート、時間
- バイイン、結果
- メンタル状態
② 印象的ハンドの記録
- 大きく勝ったハンド
- 大きく負けたハンド
- 判断に迷ったハンド
③ 自分の感情・傾向の記録
- ティルト発生
- 疲れの影響
- 集中力の波
記録ツール
オンライン
- PokerTracker 4:定番、有料
- Hand2Note:高機能、有料
- Holdem Manager 3:定番、有料
- PokerCraft(GGPoker):内蔵、無料
ライブ
- スマホメモアプリ:Apple Notes、Google Keep
- Notion:体系的記録
- ハンドメモ専用アプリ:Poker Notes Live、PokerNotes など
自作スプレッドシート
- Google スプレッドシート
- 自分用にカスタマイズ
- 0 円で始められる
ハンドレビューテンプレート
各ハンドを以下のテンプレートで記録:
[日付] 2026/05/23
[レート] 100/200 NL
[ポジション] BTN
[スタック] 100 BB(=自分) / 80 BB(=相手)
[ハンド] A♠ K♠
[プリフロップ]
- UTG fold, MP fold, CO fold
- BTN: open 2.5 BB(=自分)
- SB fold, BB: call
[フロップ] K♣ 7♦ 3♣
- BB: check
- BTN: bet 1/3 pot(=3 BB)
- BB: call
[ターン] K♣ 7♦ 3♣ + 2♥
- BB: check
- BTN: bet 2/3 pot(=7 BB)
- BB: call
[リバー] K♣ 7♦ 3♣ + 2♥ + 9♠
- BB: check
- BTN: bet pot(=20 BB)
- BB: fold
[結果] +6 BB(=プリポット獲得)
[自己評価]
- ハンドリーディング:◎
- サイジング:○(リバーやや大きすぎたかも)
- 結果:成功
[改善点]
- リバーサイズを 2/3 ポットでも十分降ろせたか検証
- BB のチェックレイズなしを「弱い」と読んだのは正しい
このテンプレートを毎ハンド書くのは無理なので、1 セッション 3 〜 5 ハンド だけ記録。
レビューの「3 ステップ」
ステップ 1:自分の判断を言語化
- 「なぜそうしたか」を文字で書く
- 思考プロセスを可視化
ステップ 2:代替アクションを検討
- 「他のアクションだったら?」
- フォールド / レイズ / ベットサイズ違いを想像
ステップ 3:ソルバー or 専門家と照らし合わせ
- ソルバー解と自分の判断を比較
- 違いの理由を理解
レビューの「頻度」
毎日(=理想)
- 1 セッション後すぐ
- 印象的 3 ハンド
週次
- 週末に 30 分
- セッション全体の傾向確認
月次
- 1 ヶ月の収支・統計
- 戦略の調整
「ミスのパターン化」
レビューで分かるミスのパターン:
パターン ①:プリフロップ・コール過剰
- BB ディフェンスで弱いハンドコール
- 「降りる勇気」不足
パターン ②:C-ベット連発
- ノーペアでも 3 ストリート打ち続け
- 「諦め時」不明
パターン ③:リバーで弱気フォールド
- 強い手でフォールドし過ぎ
- 「ブラフキャッチ」恐れ
パターン ④:チップ追跡なし
- 相手のスタックを意識せず、ジャム誘発
- 「SPR 計算」不足
改善計画の立て方
ミスのパターンが見えたら:
月次目標を 1 つだけ
- 「今月は リバーフォールド過多 を改善」
- 「来月は C-ベット率の最適化」
具体的アクション
- 「毎ハンド アルファ計算」
- 「ボードカテゴリで C-ベット率即答」
進捗確認
- 月末に評価
- 改善が見られなければ継続、見られれば次の目標
「自分専用ノート」
長期的に蓄積する自分専用ノート:
内容
- 過去のミス + 改善策
- 印象的ハンド集
- プレイヤー別メモ(=「この人はリバーで降りる」など)
形式
- Obsidian
- Notion
- Google Docs
- アナログノート(=書く方が記憶に残る)
「プレイヤー別ノート」
ライブで対戦するプレイヤーごと:
例:田中さん(=サークル仲間)
- VPIP 35 / PFR 8(=コーリングステーション)
- リバーで降りない
- AA / KK 隠して打つ
- → バリュー特化、ブラフゼロ
このノートを 数十人 分蓄積すると、テーブル毎に最適戦略が選べます。
レビューの「質問テクニック」
各ハンドで自問:
自分への 5 つの質問
- なぜこのアクションを選んだ?
- 相手のレンジは何 %?
- 自分のハンドはそのレンジに対してどの位置?
- 他の選択肢は何があった?
- 次に同じ状況になったらどうする?
「ピアレビュー」
他人とレビューし合う:
メリット
- 自分では気づかない視点
- 他人の戦略を吸収
- モチベーション維持
方法
- ポーカー仲間と Discord
- ハンドレビュー会
- コーチング
上達速度の「現実値」
しっかりレビューする人としない人:
レビューする人
- 半年で勝率 +3 BB / 100
- 1 年で勝率 +6 BB / 100
レビューしない人
- 1 年で勝率 +1 BB / 100
- 同じミス繰り返し
→ レビューが上達速度を 3 〜 6 倍 にする。
レビュー時間の目安
| 上達速度目標 | 1 週間のレビュー時間 |
|---|---|
| ゆっくり | 30 分 |
| 標準 | 1 時間 |
| 速い | 2 〜 3 時間 |
| プロ志向 | 5 時間 + |
「プレイ時間 : レビュー時間 = 4 : 1」が中級者の目安。
「録画レビュー」(=オンライン)
オンラインプレイなら、画面録画で全ハンド確認可能:
録画ツール
- OBS Studio(無料)
- QuickTime(Mac 標準)
- Bandicam(Windows)
レビュー方法
- 重要ハンドを倍速で見直す
- 一時停止して判断検討
- ソルバーで答え合わせ
「結果論」の排除
レビューでよくある罠:
結果論の例
- 「コールしたら勝った → コール正解」
- 「フォールドしたら勝てなかった → フォールド失敗」
正しいレビュー
- 「コール時の EV +1 BB」だったか
- 「フォールド時の EV +0.5 BB」だったか
- → EV ベースで判断
結果ではなく 意思決定の質 を評価。
練習:レビュー実践
直近のセッション
- 印象的 3 ハンドをピックアップ
- テンプレートに沿って記録
- 自己評価
- 改善点 1 つだけ書く
これを 1 週間継続。
用語まとめ
- ハンドレビュー:自分のプレイを振り返る
- ピアレビュー:他人と互いにレビュー
- EV ベース判断:結果ではなく期待値で評価
- プレイヤー別ノート:相手の特徴メモ
このレッスンの要点
- 記録 + レビューが上達速度を 3〜6 倍にする
- 1 セッション 3〜5 ハンドだけ記録で OK
- プレイ時間 : レビュー時間 = 4 : 1 が目安
- 結果論ではなく EV ベースで判断評価
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