レッスン 35 / 100 Phase 3:ハンドレンジ編

BTNのオープンレンジ

テーブルで最強のポジション、ボタン。レンジは約45〜50%、つまり配られたハンドの半分以上で参加します。「スティールマシーン」になりましょう。
POKER UTG MP CO BTN SB BB D
6人テーブル:BTN(赤)はテーブル最強の席。後ろは SB と BB の2人だけ。

BTN オープンレンジ:約 45〜50 %

最強ポジションでは、配られた 約半分のハンド でオープン参加。
「強いハンドを待つ」のではなく、「何を降ろすか」を考えるレンジになります。

推奨レンジ(標準・100BB キャッシュ/MTT)

ペア

  • 22 - AA(全ペア)

A スーテッド

  • A2s - AKs(全種類)

K スーテッド

  • K2s - KQs(全種類)

Q スーテッド

  • Q2s - QJs(全種類)

J スーテッド

  • J5s - JTs

T スーテッド

  • T6s - T9s

スモール・スーテッド

  • 96s, 97s, 98s, 86s, 87s, 76s, 65s, 64s, 54s, 53s, 43s, 32s

オフスーテッド大幅拡張

  • A2o - AKo(全 A オフスーテッド)
  • K7o - KQo
  • Q9o, QTo, QJo
  • J9o, JTo
  • T9o

レンジ表ビジュアル

AKQJT98765432
A🟥AA🟥AKs🟥AQs🟥AJs🟥ATs🟥A9s🟥A8s🟥A7s🟥A6s🟥A5s🟥A4s🟥A3s🟥A2s
K🟥AKo🟥KK🟥KQs🟥KJs🟥KTs🟥K9s🟥K8s🟥K7s🟥K6s🟥K5s🟥K4s🟥K3s🟥K2s
Q🟥AQo🟥KQo🟥QQ🟥QJs🟥QTs🟥Q9s🟥Q8s🟥Q7s🟥Q6s🟥Q5s🟥Q4s🟥Q3s🟥Q2s
J🟥AJo🟥KJo🟥QJo🟥JJ🟥JTs🟥J9s🟥J8s🟥J7s🟥J6s🟥J5s
T🟥ATo🟥KTo🟥QTo🟥JTo🟥TT🟥T9s🟥T8s🟥T7s🟥T6s
9🟥A9o🟥K9o🟥Q9o🟥J9o🟥T9o🟥99🟥98s🟥97s🟥96s
8🟥A8o🟥K8o🟥88🟥87s🟥86s
7🟥A7o🟥K7o🟥77🟥76s
6🟥A6o🟥66🟥65s🟥64s
5🟥A5o🟥55🟥54s🟥53s
4🟥A4o🟥44🟥43s
3🟥A3o🟥33🟥32s
2🟥A2o🟥22

BTN の戦略哲学

「テーブルの王」

  • ポストフロップで常に最後にアクション
  • 情報優位を毎ハンド利用
  • 1 周(6 ハンド)で 1.5 BB のチップを稼ぐのが目安

「2 人を相手にする」前提

  • 後ろに SB・BB の 2 人だけ
  • マルチウェイのリスクは最小
  • スティール成功率:約 65〜70 %(=SB と BB がどちらも降りる確率)

追加ハンドの理由

A 全オフスーテッド

  • A2o - A9o まで全て参加
  • A ヒットで TPTK ライク + A ブロッカー
  • ヘッズアップでもマルチウェイでも価値あり

Q 全スーテッド

  • Q2s - Q4s も追加(Q スーテッド完全網羅)
  • フラッシュ可能性 + Q ペア化

J5s, T6s

  • 低位スーテッドも追加
  • 「ナッツポテンシャル + スティール意図」

スモール・オフスーテッド

  • K7o, K8o(K ペア化、ブロッカー効果)
  • Q9o, T9o, J9o(ブロードウェイ周辺の補完)

スティールの数学

BTN オープンが理論的に成立する根拠:

仮定

  • 自分のオープンサイズ:2.5 BB
  • SB と BB が両方フォールドする確率:65 %
  • 既にポットにある:1.5 BB(SB + BB)

期待値計算

  • スティール成功時の利益:1.5 BB(×65 %)= +0.975 BB

  • スティール失敗時:レンジ依存、ポストフロップで競争

  • スティール成功だけで +0.975 BB」が、何でもいいから参加できる根拠

つまり「BTN は弱いハンドでも、スティール成功率の高さでプラス」になります。

「降ろせない相手」への対策

BB が「タイトすぎてオープン以上必ずコール」する場合:

対策① レンジを狭める(タイト調整)

  • BB がディフェンスを広げてくる → スティール成功率低下
  • 35 〜 40 % まで絞る

対策② サイズを大きくする

  • 2.5 BB → 3 BB に上げて、BB のコール率を下げる

対策③ ポストフロップ重視

  • 弱いハンドはフォールド頻度の高いボードでのみ C ベット
  • ボードリーディングが必要(Phase 4 で扱う)

ノットルーズ:BTN レンジが「広い理由」

BTN 50 % は広すぎでは?」と感じるかもしれません。
プロの研究によると、BTN 50 % オープンが理論的に最適と分かっています。

根拠

  • ポストフロップ IP 優位 + スティール成功率の合計で、弱いハンドでもプラス
  • BTN レンジを 30 % まで絞ると「機会損失」で大幅マイナス
  • 50 % を超えると、SB/BB の 3 ベットレンジに食われ始める

「広すぎる」と感じるのは、Phase 1〜2 の感覚が抜けていないだけです。

BTN で 3 ベットされた場合

SB や BB から 3 ベットが飛んでくる頻度:

対戦相手3 ベット頻度
SB(タイト)10〜13 %
SB(ルース)18〜25 %
BB(タイト)6〜9 %
BB(ルース)14〜20 %

これらは比較的高頻度なので、BTN オープンは「3 ベットされる前提で堅実なハンドが多めに必要」。

BTN 4 ベットレンジ

  • AA, KK, QQ(コミット)
  • AKs, AKo(コミット)
  • ライト 4 ベット:A5s, A4s(ブロッカー目的)

ハンドの「下限」を見極める

BTN レンジ最下限は 32sA2o のような「スティール専用」ハンド:

  • フロップで何も当たらないことが多い
  • C ベット 1 回で諦めて降りる
  • 「スティール成功 = ポット獲得」が主目的

これらは「手の強さで勝つ」のではなく、「ポジションと頻度で勝つ」ハンドです。

練習:BTN でのアクション判断

BTN で配られたハンド。レイズかフォールドか?

  1. 3♠ 2♠
  2. K♣ 6♦
  3. T♥ 6♥
  4. A♦ 4♠
  5. 7♣ 4♦
答え合わせ
  1. レイズ(32s、スーテッドコネクター最下限、BTN レンジに含まれる)
  2. フォールド(K6o は BTN レンジ外、K7o から含まれる)
  3. レイズ(T6s、T スーテッドの下限)
  4. レイズ(A4o、全 A オフスーテッド GO)
  5. フォールド(74o、コネクトもスーテッドもない)

用語まとめ

  • スティール:レイトポジでブラインドを盗む目的のオープン
  • テーブルの王:BTN の通称
  • スティール専用ハンド:32s, A2o など、降ろせれば勝ちのハンド

このレッスンの要点

  • BTN レンジは約 45〜50 %、配られたハンドの半分以上
  • A 全オフスーテッド、K 全スーテッド、Q 全スーテッド
  • 1 周で +1.5 BB 稼ぐのが目安
  • 「広すぎる」と感じても、理論的に正解

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