リスクプレミアムとは
リスクプレミアムとは、トーナメントでコールやオールインを正当化するために、チップEV(cEV)で必要な勝率に「上乗せ」される分のことです。キャッシュゲームならチップの価値は一定なので、必要勝率はポットオッズだけで決まります。ところがトーナメントでは、チップを失う=そのまま敗退に近づくため、「生き残る価値」が別途のしかかります。
つまり同じ手・同じポットオッズでも、チップ的にはコールできる場面なのに、賞金期待(ICM)で見ると降りた方が得、ということが起こる。この「降りる方向に積み増される必要勝率の差」がリスクプレミアムです。
なぜチップEVと食い違うのか
トーナメントでは1チップの価値が一定ではありません。チップを積み上げるほど1枚あたりの賞金価値は逓減し、逆に失うチップの痛みは大きい。この非対称性が、コールで得られるチップより失うリスクの方を重く見させます。詳しい比較はチップEVとICMの違いで扱っています。
どんな場面で大きくなるか
リスクプレミアムは、状況によって大きく変わります。おおよその目安として、次の場面で大きくなります。
- 入賞ライン手前のバブル:1人飛べば全員が入賞するため、降りる圧力が最大級になる。
- ペイジャンプ手前:次の賞金の段差が大きいほど、敗退の損が重くなる。
- 大会終盤・ファイナルテーブル付近:1順位の賞金差が大きく、ミスの代償も大きい。
逆に、序盤やバブルから遠い局面では上乗せは小さく、cEV寄りに普通プレーしてよい場面が増えます。
スタックサイズで変わる
同じ卓でも、リスクプレミアムはスタックによって正反対に働きます。
- 大スタック:自分のリスクプレミアムは小さい。むしろ「相手に大きなリスクプレミアムを背負わせる」側として、圧力をかけて降ろせる。
- 中スタック:ショートに脅かされ、飛べば順位を大きく落とすため上乗せが大きい。当落線上ほど慎重に。
- ショートスタック:後がないため、相対的にプレッシャーをかける側に回りやすい。
まとめ
リスクプレミアムは「生き残り価値」が必要勝率に上乗せされる現象で、バブル・ペイジャンプ手前・大会終盤ほど大きくなります。大スタックは小さく相手に圧力をかけられ、中スタックは大きいので慎重に。全体像はトーナメント戦略ガイドで押さえておくと判断がぶれません。