ハンドレンジ表の読み方
13×13 マスの正体
ポーカーで配られる 2 枚のホールカードの組み合わせは、トランプ全体では C(52,2) = 1326 通り あります。しかし、これを「ハンドの種類」として整理すると、たった 169 種類 に集約できます。
なぜ 169 通りなのか:
- スートを区別しない(=スーテッドかオフスーテッドかだけが意味を持つ)
- 順序を区別しない(AK と KA は同じハンド)
この 169 種類を、13×13 のマス目 に整理したのがハンドレンジ表です。
基本構造
| A | K | Q | J | T | … | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A | AA | AKs | AQs | AJs | ATs | … |
| K | AKo | KK | KQs | KJs | KTs | … |
| Q | AQo | KQo | QJs | QTs | … | |
| J | AJo | KJo | QJo | JJ | JTs | … |
| T | ATo | KTo | QTo | JTo | TT | … |
| 位置 | 意味 |
|---|---|
| 対角線(左上→右下) | ポケットペア(AA, KK, QQ … 22)13 種類 |
| 対角線の右上側 | スーテッド(同スート)78 種類 |
| 対角線の左下側 | オフスーテッド(異スート)78 種類 |
| 合計 | 13 + 78 + 78 = 169 種類 |
このマス目の どこに色を塗るか で「どのハンドでこのアクションをするか」が一目で分かります。
表記の慣習
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| AKs | A と K のスーテッド(A♥K♥ など、同スート) |
| AKo | A と K のオフスーテッド(A♥K♠ など、異スート) |
| TT | ポケットテン(10♥10♣ など、同じ数字 2 枚) |
| JTs+ | JTs 以上のスーテッド連結(JTs, QJs, KQs を含む) |
| A2s-A5s | A2s から A5s までの 4 種類 |
| 66+ | 66 以上のすべてのペア(66, 77, … AA) |
これらの表記は次の Phase でも頻繁に使うので、視覚で覚えてください。
各ハンドの「重み」
169 種類はそれぞれ確率が違います:
| カテゴリ | 種類数 | 1 種類あたりの確率 | カテゴリ合計確率 |
|---|---|---|---|
| ペア | 13 | 0.45 % | 5.88 % |
| スーテッド | 78 | 0.30 % | 23.5 % |
| オフスーテッド | 78 | 0.90 % | 70.6 % |
つまり、配られるホールカードの 約 70 % はオフスーテッド です。
これが「ペア + スーテッドだけで戦う」=タイト戦略の正体です。
マス目を「塗る」3 種類のアクション
レンジ表では、各マスを色で塗ってアクションを示します。
| 色 | アクション |
|---|---|
| 🟥 赤 | レイズ/3 ベット |
| 🟩 緑 | コール |
| ⬜ 白/グレー | フォールド |
| 🟨 黄 | ミックス(一部レイズ、一部コール) |
例:「BTN オープンレンジ」は、169 マスのうち約 80 マスが赤で塗られた状態になります。
実例:BTN オープンレンジ(簡易版)
| A | K | Q | J | T | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A | 🟥AA | 🟥AKs | 🟥AQs | 🟥AJs | 🟥ATs | 🟥A9s | 🟥A8s | 🟥A7s | 🟥A6s | 🟥A5s | 🟥A4s | 🟥A3s | 🟥A2s |
| K | 🟥AKo | 🟥KK | 🟥KQs | 🟥KJs | 🟥KTs | 🟥K9s | 🟥K8s | 🟥K7s | 🟥K6s | 🟥K5s | 🟥K4s | 🟥K3s | 🟥K2s |
| Q | 🟥AQo | 🟥KQo | 🟥QJs | 🟥QTs | 🟥Q9s | 🟥Q8s | 🟥Q7s | 🟨Q6s | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | |
| J | 🟥AJo | 🟥KJo | 🟥QJo | 🟥JJ | 🟥JTs | 🟥J9s | 🟥J8s | 🟨J7s | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ |
| T | 🟥ATo | 🟥KTo | 🟥QTo | 🟥JTo | 🟥TT | 🟥T9s | 🟥T8s | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ |
| 9 | 🟥A9o | 🟨K9o | ⬜ | 🟨J9o | 🟨T9o | 🟥99 | 🟥98s | 🟥97s | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ |
| 8 | 🟨A8o | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | 🟥88 | 🟥87s | 🟨86s | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ |
| 7 | 🟨A7o | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | 🟥77 | 🟥76s | 🟨75s | ⬜ | ⬜ | ⬜ |
| 6 | 🟨A6o | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | 🟥66 | 🟥65s | 🟨64s | ⬜ | ⬜ |
| 5 | 🟨A5o | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | 🟥55 | 🟥54s | 🟨53s | ⬜ |
| 4 | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | 🟥44 | ⬜ | ⬜ |
| 3 | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | 🟥33 | ⬜ |
| 2 | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | ⬜ | 🟥22 |
赤+黄でレンジ計算すると、約 45〜50 %。これが「BTN は半分以上のハンドでオープン」の正体です。
インタラクティブなレンジ表は ツール:ハンドレンジ・ビジュアライザー で操作できます(近日公開)。
レンジ表は「丸暗記」するもの
「考えて思い出す」ではなく、見た瞬間にアクションが出る状態を目指します。
暗記のコツ
- 対角線(ペア)から覚える:右上の AA から左下の 22 まで、どこまで塗るか
- A 行を覚える:A2s から A2o まで、どこまでレイズ/コール/フォールドか
- K 行、Q 行と進む:ペア+ A 行+ K 行で 8 割の判断ができる
- スーテッド連結(QJs, JTs, T9s …) は連続して塗られていることが多い
暗記期間の目安
- 各ポジション 1 つにつき 2〜3 日
- 6 ポジション × 3 種類のアクション = 約 1 ヶ月で全パターン暗記
ポジション別「広さ」の比較
| ポジション | おおよそのオープン頻度 | 暗記順序 |
|---|---|---|
| UTG | 13〜16 % | 5 番目 |
| MP | 16〜20 % | 4 番目 |
| CO | 25〜32 % | 2 番目 |
| BTN | 45〜50 % | 1 番目(ここから) |
| SB | 35〜40 % | 6 番目 |
| BB | (ディフェンスレンジ)30〜40 % | 3 番目 |
BTN から覚えるのが効率的。最も使用頻度が高く、レンジが広いため「マス全体の感覚」が掴みやすいです。
レンジ表の限界と「ノード」の概念
レンジ表は「プリフロップで誰もアクションしていない」場合のオープンレンジを示します。
状況が変わるたびに、別のレンジ表が必要です:
- 「UTG オープンに対する MP の応答」
- 「UTG オープン → CO 3 ベットに対する BTN の応答」
- 「BTN オープン → BB 3 ベットに対する BTN の 4 ベットレンジ」
これらを「ノード」と呼びます。プロは数百のノードに対応するレンジを記憶しています。
最初はオープンレンジ 6 種類だけ完璧にすれば十分です。Phase 3 ではこれを順に学んでいきます。
練習:このマス、どのハンド?
レンジ表を見て、瞬時に正解できるようになりましょう。
- 「左上から 3 つめ・上から 1 行め」のマスは?
- 「対角線上の 6 つめ」のマスは?
- 「最右下のマス」は?
答えを見る
- AQs(A の行、Q の列)
- 99(A=1, K=2, Q=3, J=4, T=5, 9=6)
- 22(最弱ペア)
用語まとめ
- ハンドレンジ表:169 種類のハンドを 13×13 マスで表示した表
- スーテッド(s):同スート
- オフスーテッド(o):異スート
- ノード:プリフロップの特定の状況(オープン、3 ベット応答など)
このレッスンの要点
- 169 種類のホールカードを 13×13 マスで整理
- 対角線がペア、右上がスーテッド、左下がオフスーテッド
- 約 70 % のハンドはオフスーテッド(=多くは捨てる)
- BTN から暗記を始めて、CO → BB → MP → UTG → SB の順