この記事でわかること
「自分の前は全員フォールド。ここでオールインしていいの?」を、掛け算ひとつで大まかに判断する方法です。厳密な GTO 解ではありませんが、初心者がショートスタックで迷わないための出発点になります。
▶ パワーナンバー表・比較計算機(無料ツール) — M と後ろの人数を入れると P を計算し、表の候補を色で示します。
手順は3ステップ
- M値を出す。 自分のスタック ÷(SB + BB + 1周あたりのアンティ合計)。アンティがある卓では常にアンティ分を含めます。計算は M値・Mゾーン計算機 で。
- 自分の後ろにいる人数を数える。 すでにフォールドした人と自分は含めません。SB なら 1 人、BTN なら 2 人、CO なら 3 人、9人卓の UTG なら 8 人です。
- P = M × 後ろの人数 を出し、自分のハンドのパワーナンバー(PN)と比べる。PN が P 以上なら「先制オールインの候補」、P 未満なら候補ではない、ちょうど同じなら境界です。
表の見方は、T が 10、s が同じスート 2 枚(スーテッド)、o が違うスート 2 枚(オフスート)。高いランクを先に書きます(A5s、A5o、33 など)。
例で確かめる
アンティなし、SB 500 / BB 1000、自分のスタック 7500 とします。
- 1周のコストは 1500 なので M = 7500 ÷ 1500 = 5。
- BTN(後ろ 2 人)なら P = 5 × 2 = 10。A5s の PN は 31 で、10 以上なので候補です。
- 9人卓の UTG(後ろ 8 人)なら P = 5 × 8 = 40。A5s の 31 は 40 未満なので、候補ではありません。
同じハンドでも、後ろの人数が増えるほど必要な数字が大きくなる。これがこの表の本質です。
パワーナンバー表
適用範囲: M3〜8・自分まで全員フォールド・賞金差の影響が小さい場面の近似。上三角 = スーテッド(s)、下三角 = オフスート(o)、対角 = ペア。T = 10。
| 2枚目1枚目 | A | K | Q | J | T | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A | AA+(ペア) | AKs+(スーテッド) | AQs+(スーテッド) | AJs+(スーテッド) | ATs+(スーテッド) | A9s50(スーテッド) | A8s37(スーテッド) | A7s32(スーテッド) | A6s28(スーテッド) | A5s31(スーテッド) | A4s27(スーテッド) | A3s26(スーテッド) | A2s24(スーテッド) |
| K | AKo+(オフスート) | KK+(ペア) | KQs+(スーテッド) | KJs75(スーテッド) | KTs66(スーテッド) | K9s44(スーテッド) | K8s17(スーテッド) | K7s15(スーテッド) | K6s14(スーテッド) | K5s13(スーテッド) | K4s11(スーテッド) | K3s10(スーテッド) | K2s9(スーテッド) |
| Q | AQo+(オフスート) | KQo48(オフスート) | QQ+(ペア) | QJs75(スーテッド) | QTs58(スーテッド) | Q9s38(スーテッド) | Q8s16(スーテッド) | Q7s11(スーテッド) | Q6s10(スーテッド) | Q5s8(スーテッド) | Q4s8(スーテッド) | Q3s8(スーテッド) | Q2s8(スーテッド) |
| J | AJo50(オフスート) | KJo31(オフスート) | QJo26(オフスート) | JJ+(ペア) | JTs58(スーテッド) | J9s39(スーテッド) | J8s21(スーテッド) | J7s12(スーテッド) | J6s7(スーテッド) | J5s7(スーテッド) | J4s7(スーテッド) | J3s7(スーテッド) | J2s5(スーテッド) |
| T | ATo36(オフスート) | KTo19(オフスート) | QTo17(オフスート) | JTo22(オフスート) | TT+(ペア) | T9s43(スーテッド) | T8s26(スーテッド) | T7s15(スーテッド) | T6s10(スーテッド) | T5s9(スーテッド) | T4s7(スーテッド) | T3s5(スーテッド) | T2s4(スーテッド) |
| 9 | A9o27(オフスート) | K9o12(オフスート) | Q9o9(オフスート) | J9o9(オフスート) | T9o11(オフスート) | 99+(ペア) | 98s31(スーテッド) | 97s17(スーテッド) | 96s10(スーテッド) | 95s9(スーテッド) | 94s3(スーテッド) | 93s3(スーテッド) | 92s-(スーテッド) |
| 8 | A8o24(オフスート) | K8o10(オフスート) | Q8o8(オフスート) | J8o8(オフスート) | T8o10(オフスート) | 98o10(オフスート) | 8866(ペア) | 87s19(スーテッド) | 86s15(スーテッド) | 85s10(スーテッド) | 84s5(スーテッド) | 83s-(スーテッド) | 82s-(スーテッド) |
| 7 | A7o22(オフスート) | K7o9(オフスート) | Q7o6(オフスート) | J7o5(オフスート) | T7o6(オフスート) | 97o7(オフスート) | 87o10(オフスート) | 7758(ペア) | 76s15(スーテッド) | 75s10(スーテッド) | 74s9(スーテッド) | 73s-(スーテッド) | 72s-(スーテッド) |
| 6 | A6o18(オフスート) | K6o9(オフスート) | Q6o6(オフスート) | J6o4(オフスート) | T6o3(オフスート) | 96o3(オフスート) | 86o4(オフスート) | 76o7(オフスート) | 6651(ペア) | 65s11(スーテッド) | 64s10(スーテッド) | 63s4(スーテッド) | 62s-(スーテッド) |
| 5 | A5o21(オフスート) | K5o9(オフスート) | Q5o6(オフスート) | J5o4(オフスート) | T5o-(オフスート) | 95o-(オフスート) | 85o-(オフスート) | 75o-(オフスート) | 65o-(オフスート) | 5544(ペア) | 54s11(スーテッド) | 53s8(スーテッド) | 52s-(スーテッド) |
| 4 | A4o18(オフスート) | K4o8(オフスート) | Q4o5(オフスート) | J4o3(オフスート) | T4o-(オフスート) | 94o-(オフスート) | 84o-(オフスート) | 74o-(オフスート) | 64o-(オフスート) | 54o-(オフスート) | 4439(ペア) | 43s6(スーテッド) | 42s-(スーテッド) |
| 3 | A3o16(オフスート) | K3o8(オフスート) | Q3o5(オフスート) | J3o3(オフスート) | T3o-(オフスート) | 93o-(オフスート) | 83o-(オフスート) | 73o-(オフスート) | 63o-(オフスート) | 53o-(オフスート) | 43o-(オフスート) | 3333(ペア) | 32s-(スーテッド) |
| 2 | A2o13(オフスート) | K2o7(オフスート) | Q2o4(オフスート) | J2o3(オフスート) | T2o-(オフスート) | 92o-(オフスート) | 82o-(オフスート) | 72o-(オフスート) | 62o-(オフスート) | 52o-(オフスート) | 42o-(オフスート) | 32o-(オフスート) | 2228(ペア) |
- ペア
- 対角線(例: 33 = 33)
- スーテッド(s)
- 上三角。同じスート2枚(例: A5s = 31)
- オフスート(o)
- 下三角。違うスート2枚(例: A5o = 21)
- +
- 原著の適用範囲(M3〜8・自分が最初に参加・賞金差が小さい場面)の中では常に目安以上、という意味。「無限大」ではなく、範囲の外では何も言っていない。
- −
- 表に数値がない、という意味。ゼロでも「自動的にフォールド」でもない。
記号と範囲のルール
- 適用範囲は M3〜8。 自分まで全員フォールドしていて、賞金差の影響が小さい場面の近似です。これより深い・浅いスタックには、この表を当てはめないでください。
- 「+」 は「この範囲の中では常に目安以上」という意味です。無限大ではなく、範囲の外については何も言っていません。
- 「−」 は「表に数値がない」という意味です。ゼロでも「自動的にフォールド」でもありません。
- 同じ値なら境界。 P と PN がぴったり同じときは、どちらとも言えない境界線上です。
- 表示は丸めても、比較は丸めない。 ツールでは P を小数 1 桁で表示しますが、判定は丸める前の値で行います。
この表が扱わないこと
- スタックが不揃いのとき。 相手ごとに有効スタックが変わります。後ろに短いスタックが1人いても、ほかに自分をカバーする相手がいれば全スタックを失う可能性があります。自分のBB数だけで一律に判断せず、各相手のスタックを確認します。
- ICM・バブル・ファイナルテーブル・サテライト。 賞金差が大きい場面は対象外です。ICM計算機 を使ってください。
- すでにリンプやレイズが入っているとき。 この表は「自分が最初に参加する」前提です。
- コールやリスチール。 相手のオールインにコールするか、レイズに対して押し返すか、という判断は別の話です。本サイトのプッシュ/フォールド計算機もSBからの先制オールイン用なので、コールやリスチールの答えには使えません。
昔の「全員アンティ」条件と5%補正
原著では、フルテーブル(9〜10人卓)で各自アンティが SB の 5 分の 1 より大きい場合、P に 0.95 を掛ける補正を加えます。卓全体が6人以下なら、この追加補正は使いません。ここでいう卓全体の人数は、Pの計算に使う「自分の後ろの人数」とは別です。たとえば9人卓のBTNでは、卓全体は9人、後ろは2人です。アンティをMの分母に含める計算は、補正の有無にかかわらず行います。
いまの主流である BB アンティ(BBA)の卓では、アンティ分を M に含めること自体は同じですが、この表は BBA 専用に解かれた GTO 表ではありません。BBA の卓でチェックを自動的に入れないでください。
出典について
- 方法の出典: Lee Nelson, Tysen Streib, Steven Heston『Kill Everyone』2nd ed., Chapter 4 “Equilibrium Plays”(Google Books)。
- 数値表の参照: Kaname Hirano 氏の公開リサーチノート(hiranokworks.com)。公開されている表の数値を参照し、記号を原著の「+」「−」に統一しました。
次に読む
- M値とMゾーン — M の意味とゾーンごとの戦い方
- パワーナンバー表・比較計算機 — この記事の表を動かして試す
- プッシュ/フォールド計算機 — Nash 近似のレンジ
- ICM計算機 — 賞金差が大きい場面の判断